第4話 アマゾンのブラウザー族(1)

2007.06.10

立読みは本屋最強の販促システム

 休日前に、書店の棚を廻りながらの立読みは、至福の時間だ。小1時間もすると小脇に2、3冊は抱えている。立読みは本屋最強の販促システムだ。

 再開発で自宅から徒歩5,6分圏に家電量販3店と、有隣堂あおい書店丸善の大型書店がそろい踏みの進出で、ずいぶんと便利になった。それでも、大型とは云え、在庫切れや品揃えが無い書籍も当然ある。すぐに取り寄せの手配はしてくれるが、如何せん無いと余計欲しくなるのが人情だ。時折、取り寄せ依頼か、家に戻ってアマゾンドットコムでオンライン発注すべきか躊躇する。

 先日、全国紙に「東京が駄目なら上海があるさ」の新刊広告が載っていた。普段はこの手の本は読まない。しかし、著者が邱永漢さんなので目に留まった。「中国には日本の100倍もチャンスがある!」のサブタイトルやキャッチコピーも簡明すぎ、かえって主張の領域が見えて来ない。

 時計に目をやると土曜の22:19で、いわゆるリアルな書店は、もう閉店しているから、今日はこの本の趣旨を掴めない。それではと、バーチャル書店のアマゾンで、立読みシステム「なか見!検索」を開いたが、この書籍の内容情報は無かった。替りに、今から10時間10分以内の注文であれば、本書は明日の日曜中に配送できると、ディスプレイは驚異のアマゾン物流システムを誇らしげに表示した。

 翌朝、遅めの朝食を摂ってから、大型書店で件の書籍を手にした。カバーや折り返しにも、日本の繊維製品は中国の三倍、肉類は六倍、野菜は中国の十倍・・・タイトルやキャッチコピーが踊っているのに、そこから推測される文章は無かった。本書を一言で紹介すれば、「人間到る処に青山(墓所)在り」そう思いを定め、広い世界で活躍しなさい。という内容だろう。タイトルなどから見れば、羊頭狗肉だと思う読者もいるだろう。

(続く)