第7話 総理の品格と面子(1)

2007.07.29

日本の総理に対する品格について、他国はどう見ているのか

 安倍自民党の敗北は中国で知った。7月24日に急遽日本を発ったが、不在者投票はして来なかった。安倍さんは参院選の勝負玉として総理になったのだが、おそらく敗因は安倍さんの品格(人格ではありません)かも知れない。

 池田、大平など宏池会輩出の歴代宰相たちを描いた「総理の品格」を読んだ。しばらくして、なんとも都合よく大平正芳記念財団から、平成19年度理事会と授賞式にと代理出席の機会あった。故大平総理の関係者や親族が遺志を継いで、23回も続いているアカデミックな財団の活動とは、どんな物か少しは興味があった。

 会場の丸の内北口に在る日本工業倶楽部には、改装以来訪れた事はなかったが、EVやトイレなど除くと、雰囲気は以前のままだった。懐かしい吹き抜けの木製階段を、正面から3階まで上って第四会議室に入った。理事会の出席メンバーはご子息の裕さん(財団理事長)明さん(大正製薬副社長)総理の娘婿の森田 一さん(元運輸大臣)明さんの岳父、上原昭二さん(大正製薬会長)秘書官だった眞鍋賢二さん(元環境庁長官)など大平総理に深い所縁の方々だった。

 議事は総理の孫、知範さんの司会で始まり、理事長による収支報告や人事案件の承認と進み、他の公益法人と変わらない。座長の渡辺昭夫さん(東京大学名誉教授)が授賞論文の要約から選考理由と進んだ。論文のテーマは各分野に亘っているが、素人の私でもその中の1つ位なら、読んでみようかと思わせる抑揚の効いた丁寧な紹介だ。久しぶりで清々しい学究の 謦咳(けいがい)に触れ、少し賢くなったような気持ちになった。続く授賞式会場では堤 清二さん(辻井 喬)から3週間前に逝去された理事の平岩 外四さん(元経団連会長)への、毎年多額の私財拠出の感謝と弔辞があった。スピーチの中で、アジアに関する若き学究達を激励する、大平正芳記念賞の趣旨に「保守本流の面目の一端がうかがえる」と言うような話もあったが同感だ。

 ところで、日本の総理に対する品格について、他国はどう見ているのか気になる。いつも胸に (つか) えていることがある。その一つは先の大戦に関して、中国に対するいわゆる「謝罪」だ。これは日本国民を代表して、天皇や田中角栄はもとより村山富市総理も衷心からお詫びを申し上げ、国民はくまなくこれを理解している。我が政府は、中国政府から、閣僚失言の言質を取られるたびに「村山談話」を挙げて弁明しているが、なかなか収まらなかった。すでに、戦争体験の無い大多数のわが国民は「もう、いい加減よかんべさ」と彼の国の執拗さに 辟易(へきえき)した。当然ながら戦争は戦勝国だろうが被害は受けるので、そのトラウマはある。敗戦後に生まれた私だって、その心情は十分に理解ができる。ここからが私の胸に突き刺さっている話だ。

(続く)