第9話 豊葦原の「瑞穂の国」に、ひとめぼれ(2)
事の善し悪しは別として、対日米輸出戦略の始まりなのだ。
五大陸一を自負する中国の3000年の食文化が変化をしている。それは食の西洋化で、1人子育ちの若者達の好物は、小麦原料のバーガー、サンドイッチ、菓子パン、ピザ、スパゲッティ、カップヌードルだ。すでに日本が歩んだ様に米離れが始まっている。それでも大都市では回転寿司や牛丼、カレーなど、日本食も受け入れられているが、米飯は全てジャポニカ米の「中国産コシヒカリ」などだ。
中国の農業はあらゆる意味で大転換期を迎えている。食料増産政策は捨てて、付加価値農業へとベクトルは大きく踵を返した。最近中国は小麦輸出国から輸入国になった様だ。しかし、市中では小麦だけの饅頭やニラ入り焼餅も、以前と値段が変わらないから、小麦量全体での逼迫はそれほどしていないと思う。前述した食生活の変化で、あまり栽培していないパン原料用の、硬質小麦の需要が増えたのだろう。
いずれ中国産「コシヒカリ」などと同じく、中国産パン原料用小麦も大量に市場に出てくるのは明らかだ。
さて、冒頭の麻生さんのお気楽なエールで蘇るほど、日本農業の未来や土壌は甘くない。もし、今年の銘柄新米を中国生産量の0.01%位でもいいから、中国が買い入れたら麻生さんの見識、先見の明は総理級だろう。
高率関税で米農家を守るのは限界が来る。今後はアジア諸国から美味しい「あきたこまち」や「ささにしき」も入って来るのは時間の問題だ。その時の輸入米は少なくとも、我が農協が推奨する低農薬の有機栽培で、加えて無洗米処理も基本仕様なはずだ。
政府も農協も何を根拠に、ポジティブ思考を喧伝するのか理解が出来ない。今回の中国側の日本米輸入解禁は、事の善し悪しは別として、対日米輸出戦略の始まりと捉えても良いのではないか。繰り返すが対日米輸出の幕開けなのだ。わが国が米のみ100%の自給率を高関税で頑なに守る国益とは、日本農業の未来は何かと皆さんに考えて頂きたいな。当たり前の事で言うのも恥ずかしいが、日本を取り巻き変貌するアジアの現状を、仔細に認識する事が肝心だよ。
確かに麻生さんの話は病に罹っても分かると思う。政治家から案山子のように我慢強いと思われていた農民も、選挙だといえこんな出来レースの様な子供騙しに、俵はやれぬと津々浦々で稲田の畦道を走り、先の参院選で「オラ達を舐めんなよ!」と返事をしたのは周知の事実だ。
豊葦原の「瑞穂の国」の総理候補たちには、農民を主食にせず農政に実(身)の入った見識と自覚が欲しいな。
腹が減っては戦が出来ずと、さっきローソンの鮭にぎりを食べたのにもう腹が減った。冷蔵庫の冷や飯は、確かブランド米「ひとめぼれ」が少し入った、ブレンド米「ひとめぼれ」だ。さて永谷園にするか。
(完)
