第11話 食料自給率を下げる売国奴
お隣のワガママ金さんだって世界から糧道を絶たれたが、贅沢さえしなけりゃ何年かは持つ。
先月、農水省は18年度の食料自給率(カロリーベース)が到頭40%を割ったと発表した。米などの農産物関税を撤廃したら、自給率は更に下がって12%位になると言う人達もいる。
日本人の7,8割が将来の食料自給率に不安を抱いて、国内生産を進めるべきだと考えているらしい。気持ちは分かるが世界のあらゆる食材を食べたいなら、それはもう無理だと思うな。それに少子化日本の一体誰が作ってくれるのだろう。
世界中の農漁民は少しでも良い仕事があれば都会へ行くし、日本も趣味のリタイア組は別として、農業で美味しい思いや人生を満喫している人の数は少ない。ワクワクする儲け話やアイドルがTVの中だけの農村では、人間の遺伝子も退屈して危機感を覚えるのだろう。
住居移動に厳しい制限がある中国ですら、ニュージーランドの人口の4倍から5倍の農民が毎年、毎年、都市に流入している。昔は「盲流」と話題になった。村に残るのは遺伝子が騒がない老人と目覚めない子供達だけ。そして、初めのうちは旧正月に帰っても、段々とかまどから上る煙の様に誰も戻って来ない。
日本の6万2千集落の内2千600集落が、いずれ近く消滅が予測されると先ほど国交省が発表した。そんなもんだろうなと驚きは無い、だからと言ってすぐに里山も無くなるわけでも無く自然な推移だろう。人は農村に育った素朴な若者でなくとも、誘蛾灯に引かれる虫の様に、富が集まり夢も叶いそうな都会が好きな生き物なのだ。すでに日本の人口の半数は3大都市圏に引っ越したようだ。(住民基本台帳調査19年3月)
ノートPCを携えて大型コンバインに乗った、北米の大規模農業は農民にとっては憧れのスタイルだろうが、実態はカーギル社のような、いわゆるエレベーター資本が幅を利かす農産物の生産ラインだ。農民が出来るレベルとは違う。
自給率低下の理由の1つが我々の食生活だ。ちなみに私の1日のカロリーベース自給率を簡単に紹介すると、朝はニンジン150g50kcalのジュースに始まり・・・肉はあまり摂らないし、魚介類は三浦や房総、三陸沖の近海ものがほとんどだ。米、枝豆や納豆、豆腐など大豆も国産だ。調味料や果物の1部を輸入モノとしても、カロリーベースの自給率(国内産)は計算したらナント80%以上にも達した。(『五訂増補 日本食品標準成分表』)
海外赴任が長い友人は、英語さえ話さなければメタボ腹の日本人気質丸出しのオッサンだが、食生活はアメリカンだ。輸入食品はイマイチだからリタイヤしたら、ワイフを口説いてLAにでも住みたいなど抜かした。単純な愛国者の私の食生活からすれば、友人とは言え彼は国賊だ。
しかし、こうゆう私も夜の付き合いが有ると、一晩で恥知らずの売国奴に成り下がってしまう。日本のビールは本場ヒットラードイツの様な大麦だけの純血ビールと違い、大麦の他に米、芋、トウモロコシを使う。水以外は全て輸入原料だろう。小瓶(344ml)しか置かない割烹や、銀座のクラブにはとんとご縁がない。和風居酒屋で大瓶(633ml)300kcalの先ずに始まり、お通しは柿ピー(台湾)肴は新鮮オクラ(タイ)焼き鳥、活き赤貝(韓国)春巻き(ベトナム)タコ(インドネシア)、ああ遂に1日の自給率は30%を切って、極端な食料安保論は変なこじつけだぞと、ロレツの回らぬ言い訳をして売国奴になる。
バイキングステーキや吉野家を頬張って、小学生の夏休みの宿題みたいに「自分たちの食べものは自分の国で作ることが大事です。」とおっしゃる人も多いが、牛や豚を、国産飼料で育てるには、国土を全部飼料用の畑に替えても無理だろう。それに健気な奴等には、せめて死ぬまでは幸せに腹一杯食べさせてやりたいしね。
「有事の際の食料インフラ確保を」となにやら60年以上前の、芋蔓、スイトン由来のナンセンスな話も耳にする。お隣のワガママ金さんだって世界から糧道を絶たれたが、贅沢さえしなけりゃ何年かは持つ。それに国際法で宣戦布告する本格近代戦争は、開戦すれば冷蔵庫の牛乳が腐るより早く、お互いにアウエーからのダイレクトシュートであっと言う間の終結だろう。ホームだから敵さんが上陸するまで田植えや刈り入れだなんて。
幾らなんでもそろそろ頭を切り替えて、安心して食べたいものを、他国に作ってもらうにはどうしたら良いのかと、本気で「食の安保を」を考えていい頃だと思うけどね。
さて、書き上げたので冷蔵庫でギンギンに冷えたビールに・・・・
(完)
