第12話 スクープではないスクープと総理の辞任(1)
鳴弦をする側近もなく、育ちの良い総理には重圧だった。民主党のさくらパパや、ぶって姫の様な神経の持ち主だったら良かったのに?
明日、安倍総理の辞職を受けて福田政権が誕生する。この間、測ったようにジャスト1年だ。安倍総理は去年9月26日の内閣発足後から12日目に訪中し、これを受けて中国の温家宝総理が4月に「氷を融かす旅」で来日した。5年余も途絶えていた首脳交流が再開した。安倍さんの少ない成果の1つだろう。
Gプリンスホテル赤坂の歓迎レセプションでの両総理のスピーチは、和気あいあいで両国政府もようやく世界や国民の空気が、読めるようになって来たのかなと思った。
唐突な辞任の言葉は事実だろうがイジメにあった子供のようで、国家指導者のしたたかさもなく哀れな姿を公に晒した。十八番で「お国のために死ぬ事を受け入れた、特攻隊の若者は何を思って散って逝ったのだろうか。」と語っていたが、最後ぐらいは遙か南の波間に消えて往った彼らの覚悟を想い起こして欲しかったな。
あとは心身を充分に癒してから、職を賭して「拉致問題」に取り組んで下さい。それが「美しい国」の「男の尻の拭き方」だと思いますよ。国民にはその位の寛容力はある。10年も不遇を過ごせば、今よりずっと良い漢になれる。皆んな、そんな世間を渡っているのです。
その後の経緯は、読者諸氏の方がお詳しいと思うので割愛をする。毀誉褒貶に耐えられるのも総理の重要な資質の1つだろう。鳴弦をする側近もなく、育ちの良い総理には重圧だった。民主党のさくらパパや、ぶって姫の様な神経の持ち主だったら良かったのに?
お次はお隣りの総理の話だ。3週間後に、5年に1度の中国共産党第17回党大会が始まり、総理が実質的に決まる。世界のマスコミは胡錦濤政権が本格的ティクオフを見極めるかの様に、現在9名の政治局常務委員で江沢民派の曾慶江副主席(68)の去就と、次のリーダーと目される共青団派の李克強(52)遼寧省トップの政治局常務委員入りに高い関心を寄せている。
党大会を前に来日したばかりの温家宝総理が「辞任の意向」と、6月初め共同通信社が報じた。扱いは小さいがスクープだ。大陸ウオッチャーの香港メディアは、事の重大性に気づき大きく取り上げた。共同の記事は国務院温家宝総理が「首相職は激務で睡眠時間も毎日4時間位だし、これ以上は無理であと5年の続投は勘弁して欲しい」と洩らしたらしいから、17大の新常務委員の構成に大きな影響が出るだろうと言うものだ。
このスクープに当局は直ちにデマ、誤報だと反応した。この時期は秋の党大会人事の真最中だから、この種の報道にはとりわけ敏感だ。記事は「現況では温総理は続投するしかないだろう」と締めて、かえって共同通信の胡錦濤政権に対する大局的で、腰の座ったスタンスが見えるようで安心を覚える。
独自の見解と断わるまでも無く、毎度の素人講釈で恐縮だが、中国は全土を覆う癌細胞のような官僚の腐敗と、格差の解消なしには明るい未来は望めない。ブログ第6話(3)で記した様に、朱鎔基元総理も志半ばで引退をした。後を継いだ温家宝は独立王国の様な地方のダラ幹や、金正日の領地の何千、何万倍の揚がりのある、金城湯池のボス達とせめぎあいをして来た。さすがの温家宝も先がなかなか見えず、遂に「百年河清を俟つ」だと疲労困憊しているのだろう。外国人の私でもおよその見当は付く。
温総理あなたのご苦労は私にさえ、洩れ聞こえてきます。胡錦濤政権は任期の折り返し点にさしかかり、ようやく江沢民派上海市トップの陳良宇が巨額汚職で失脚したばかりだ。あなたが薫陶した第五世代共青団派の汪洋(52)や李源朝(56)などが育つまで、もう暫らく頑張らなくては頼りにしている貧しい農民が泣きますよ。それが13億の民の総理になった、あなたの輝く命運だと思いますけど。
(続く)
