第20話 「広辞苑」の耐震機能と「おしん」(2)

2008.01.14

誰ですか?「あの辺りでアンタ向きの温泉なら左巻温泉だろう」なんて言う輩は!別名「美人の湯」とも言うんだぞ!

 その時の中国側青年団体の責任者が、現国家主席の胡 錦濤氏だった。それから23年後の去年の6月に、中国政府は当時首相の中曽根康弘氏を最高顧問に、当時の参加者など約180名を再び招聘した。

 ここからはオッサンの自慢話になるけど、お正月だしお年玉(圧歳銭)をやったと思って、心の広い読者諸氏は「おしん」の様に、我慢して読んでもらえると有り難いな。僕は当時の関係者ではないが、この青年団体と多少の交誼が有るので招待を受けていた。

 訪問地の一つ上海では、摩天楼を流れる黄浦江に夜会(パーティー)船を浮かべ我々一行を迎えてくれた。宴も佳境に入り少し酔いを醒まそうと、デッキに出てバンド(外灘)に林立する光の塔を見上げていた。

 初めて訪れた時の外灘は租界時代の歴史を語って、河畔のほの暗い街路灯の光が和平飯店などの建物の、薄墨になった石壁に沁み込んでいた。まだ外国人は通貨の元を使えず、兌換券と言う代替通貨だった頃だ。

 突然背後から声が掛かった「船内に戻って下さい」ついて行くと、ステージには何と僕の誕生日を祝う、ランドマークのTV塔、上海明珠タワーのようなケーキが待っていた。妻の誕生日を忘れる位だから、今日だったかとビックリした。

 お礼の挨拶代わりに僕より中国を知る同行の方々に、主催者の中華全国青年連合会共青団)との経緯をお話した。自然に出た言葉は「中国政府や党機関の中で、最も利権や汚職に遠い団体だから長くお付き合いをして来れた」だった。

 ドッと笑いが起きた。それもそうだろう、国家主席や若手要人を多数輩出する組織と付き合っていながら儲けた記憶も無い。でも参加者の殆どは同じ気持ちの筈だ。非力の負け惜しみの様だが小さな事で良い、いずれ何かの役に立てる時が来れば、多いに利用をしてみたいな。

 素敵な「四季の歌」の芹洋子、中野良子、小林綾子さんや、上海の豪華な芸能人に囲まれたバースディーだった。こんな事でもなければ芸能人に接するチャンスは皆無だ。初出社したら、向山さんと言う女性から年賀状が届いていた。「谷村しん」の旧姓小林綾子さんだ。中国滞在中の写真を、暮れに東映アカデミーのマネージャーにお渡していた。そのお礼が自筆で書かれていた。(外交機密?なので、非公開)

 さて、今年も軟弱なオッサンはもう少し試練に耐えて、「オジン」の道を進まなくてはならないな。でも「おしん」の様に筏で人生の川下りをする前に、ドラマの生家に近い温泉で「ゆっくり湯治をしてからにしょうかな」と言う始末だ。

 誰ですか?「あの辺りでアンタ向きの温泉なら左巻温泉だろう」なんて言う、焼餅をこがす輩は!別名「美人の湯」とも言うんだぞ!保証はしないが、これからの季節は寒梅や蝋梅のような、君が狼狽するほどの優しい山形美人が遊びに来るんだよ。嘘だと思うなら役場に電話をしてみなよ。
今年もよろしく。

(完)