第24話 少数民族の共生とチベット動乱(1)
土レンガの粗末な低い建物とチベット族が、仲良くパウダーのような土埃を被っていた。
綿棒の先を倍に膨らましたような色付いた蕾が、枝一杯にスタンバイしていた。来週末は満開だろう。近くの河津桜はピンク満開に咲く姥桜で、もう散り始めている。ブログネタに桜はイケるよな。それこそサクサクと書けそうなので、ぼくは余裕でパソコンをブートした。
読者諸氏、今回こそは子供の様な日記や、自慢話のブログではありませんよホントに。薄墨の凛とした香りが立つ、桜花に似た潔いものです。
またまた誰ですか!前置きはいいから早く書けよというのは。風流を解さないお人ですね。まあ、そう急かさないで、良い文章は構想が命なんですから。えっ、ハイハイ、書けばいいんでしょ。
では世界的視野から筆を進めるかな。まずはワシントンのポトマック河畔の桜からだ。・・・・・・んーん、ちょっと難しいな。どうも自分の頭でモノゴトを考えようとすると、オッサンの少ない脳細胞が、桜吹雪のようにハラハラと欠落してくる気がする。
ラジオからチベットデモ動乱のニュースだ。これは丁度いいな、テレビでも放映していたし、朝刊にも載っていたから。これだったら何とかアレコレ参考にして書けそうだ。桜ブログは上野あたりの花見のニュースが出たら、花見酒でも飲みながら書くことにしょう。
報道によればチベット自治区ラサのデモ動乱が、近隣の青海省や四川省、甘粛省にも拡がっているとの事だ。
5,6年前にぼくが時々顔を出しているNPOで日・中両国の若い人たちが、チベット族の住む中国黄河源流域に植林を企画した。企画段階で調査費もない彼らに替わって、辺境見たさの物見遊山ボランティア気分で、青藏高原の事前調査に向った。
報道で伝わるデモが広がる青海省はこの高原だった。青藏高原は世界最高峰チョモランマやヒマラヤ山脈の北に広がる、海抜3,000m〜5,000mの世界の屋根と呼ばれるチベット族の地域だ。
北京を経由し青海省の省都「西寧」から、4輪駆動車で海南蔵族(チベット族)自治州に向った。途中1泊したが高山病の悪寒で明け方まで震えていた。経文が書かれ色褪せた「タルチョ」が、強風でまとわり付く吊り橋や黄河が悠久の時をかけて削った、グランドキャニオンのような急峻な山谷を渡った。
目的地の州境には、公安と書いた車が一台と、軍用払い下げの様な古いジープ数台が、ぼくや北京から同行した中国(漢族)青年を待っていた。
峰々の雪が真っ赤に染まり始める未舗装の州道の上で、遠路の客人だと、さっそく歓迎の白いシルクの「カタ」を受け、杯を乾しておんぼろパトカーの後に付いて街に入った。
濃紺の神々しい空が暮れなずむ4,000m級の山あいの、僅かな土地に土レンガの粗末な低い建物とチベット族が、仲良くパウダーのような土埃を被っていた。
(続く)
