第25話 お江戸上野のお山で人妻と逢引き(1)
取って置きのオッサンと人妻の関係を、カミングアウトするのでどうかお赦しを。
第24話でお約束をした上野の森の桜満開ブログ出稿を、泣く泣く止めることにした。金曜日に総武線の車内から、水道橋→お茶の水駅を並行する神田川にふと目を落とした。
そこには「まだ満開ブログを書けるの?」とぼくの筆力を試すかのように、モスグリーンの川面に花びらが帯になって流れていた。もう上野公園も桜吹雪が舞い始めたのだろう。
言い訳がましいが、今年は都内の桜が関西より早く、それも駆け足の開花でしたよね。ブログはなんせ旬が命だからね。えへへ・・・無理をして書いてもね。でしょ!
ぼくが桜花のような「薄墨の凛とした香りが立つ」ブログ書くと信じてくれた善良な読者?に、お詫びのつもりで取って置きの、オッサンと人妻の関係をカミングアウトするのでどうかお赦しを。
彼女との再会は、以前にも逢った「上野の森」だ。芸大付属音楽高等学校の門の辺りに楽器ケースを抱えた親子連れが、受験掲示板をのぞいていた1月中旬の土曜日だった。
この日は午後から本郷近くの、日中歴史問題の懇談会に誘われていた。ぼくは勉強会のような会合は苦手だ。理由は発言者のほとんどが日本人なのに、何やら中国人もほめ殺しかと思うような恥ずかしい見解も多いんだ。たまにぼくが質問しても、貴方は何も分かっちゃいないだろうと、ろくな(失礼)回答やご教示も頂けない。
まあ、仕方が無いな。この歳になるまでまともに、歴史を学んだ事がないからね。オッサンの歴史知識は吉川英治の「新・平家物語」や陳舜臣の「十八史略」の歴史小説とNHK歴史大河ドラマが主な仕入れ先だからな。
恥ずかしながら正史の「日本書紀」・「続日本紀」等はタイトルだけで読んだ事はない。そんな事情であまり気が進まない会合だが、外出の口実に丁度いいと早々に家を出た。
初めて逢った時の彼女は浴衣姿で、糊の張りが落ちた柔らかな浴衣から、年齢の割には落ち着いた人妻のしっとりとした艶に、清々しい色香が漂っていた。
JR上野駅にはずいぶんと早めに着いたが、公園口から園内を散歩しながらゆっくりと待ち合わせ場所に向った。国立西洋美術館前の銀杏は、落葉して冬の青空が透けている。動物園脇のクスノキや、余り見かけないサワラの木が目に付いた。常緑樹の木陰で咲く藪椿の赤い花を見ながら、久しぶりに彼女への想像を巡らしている間に到着した。
(続く)
